2009年11月21日土曜日

café discasso







今夏、art & river bank は、「杉田敦+art & river bank」名義で、第4回越後妻有アートトリエンナーレに参加しました。

“critics coast”(批評家の海岸)と名づけられた作品は、ビデオ・アーカイヴの常設展示と、毎週末のディスカッション・イヴェントから成り、会場となった松之山温泉よりさらに西に位置する湯之島(浦田地区)の民家は、art & river bank の作家たちによって改装され、ディスカッションのために素敵なウッド・デッキも設えられました。ビデオ・アーカイヴの展示“dictionary” で上映された映像は、国内外の批評家やキュレータ、アーティストをビデオ・インタヴューした別プロジェクト“Oral Critic Archive”のために撮影されたもので、中越の豪雪地帯の納屋に無造作に置かれたモニタの中で仄光る、ハンス・ウルリッヒ・オブリストやフー・ファン、長谷川祐子ら、アートの第一線で活躍する方々の姿は、越後妻有の参加作品の中でも異彩を放つものとなりました。

週末のディスカッションは文字通り“discussion”と名づけられ、“dictionary”の参加者も招いて、3~5人による討議を計5回行いました。“discussion”は毎回異なるテーマで行われましたが、越後妻有という地域や文化の特殊について語るのではなく、アートや教育、世界など、一見すると大げさなものについてあえて討議を行うこととしました。越後妻有という特殊な環境にいるからこそ、世界やアートそのものについて言及することができるのではないか。そこには、ミクロとマクロの転置にも似た事態に対する密やかな期待が込められていました。

会期中から、討議の様子のドキュメントを閲覧したいという要望が多くありました。今回の展示はそうした要望に応えるためのもので、ディスカッションを行ったウッド・デッキのカフェ“discasso”を再現し、ディスカッションのダイジェスト閲覧することができるようになっています。また最終日には、新たに6回目のディスカッションも行います。越後妻有に行けなかった人はもちろん、訪ねていただいた方々も、ぜひ足をお運び下さい。

なお、“café discasso”では、越後妻有と同様、ポルトガルの微発砲ワイン、ヴィーニョ・ヴェルデなどカフェ・メニューもご堪能いただけます。お楽しみに!


Café discasso

2009.11.21(sat)-12.12(sat)

closed on mon, tue
wed,thu,fri 13:00-19:00 sat,sun 13:00-21:00

opening party 2009.11.21(sat) 17:00-


東京都大田区田園調布1-55-20 #206 (浅間ビル2F)
tel +81.3.3721.9421 e-mail : bankbook@art-and-river-bank.net
URL : www.art-and-river-bank.net


主催:特定非営利活動法人 art & river bank
協力:女子美術大学 大学院GPプログラム


◆今回のディスカッション

#006
“アート・プラクティス”

2009.12.12(sat) 17:00-

稲垣立男(アーティスト、法政大学教授)
小中大地(アーティスト)
杉田敦(批評家、女子美術大学教授)

その他、数名、交渉中



◆これまでのdiscussion

#001 2009.8.8 (sat)
“アジアについて”

フー・ファン (Vitamin Creative Space, アーティステック ディレクタ)
キム・ヒュンジン (インディペンデント キュレータ)
遠藤水城 (ARCUS, ディレクタ)
杉田敦 (批評家)


#002 2009. 8.15(sat)
“thinking about dog's death”

冨井大裕 (アーティスト)
言水ヘリオ (etc 発行人)
cat's heaven (アーティスト)
杉田敦 (批評家)


#003 2009.8.22(sat)
“エデュケーション”

小澤慶介 (AIT/キュレータ)
山本高之 (アーティスト)
杉田敦 (批評家)


#004 2009.8.29(sat)
“写真あるいはアーカイヴ”

伊奈英次 (アーティスト)
竹内万里子 (写真批評家)
倉谷拓朴 (アーティスト)
杉田敦 (批評家)


#005 2009.9.5(sat)
“世界ついて”

北川フラム (アートディレクタ)
長谷川祐子 (東京都現代美術館チーフ・キュレータ)
杉田敦 (批評家)

0 件のコメント: